1979年に登場したウォークマンは、大きく音楽の聴き方を変えました。いまでは想像しにくいかもしれませんが、基本的には「ステレオ」の大きなスピーカーかラジカセで聞いていましたから、狭い家の中で、自分の聞きたい曲を24時間大きな音で聞けるわけもなく、家族の好みでなければウルサイといわれるだけ。ヘッドホンも、マニア向けの大きなものがほとんどでした。
初代のウォークマンは小さくて軽いオープンエアタイプのヘッドフォンで、外出先でも音楽を楽しめるというコンセプトだったし、外部の音を取り入れるためのマイクと黄色いボタンがありました。そして一緒に聴ける様にヘッドホン端子も2つ。それまでにもイヤフォンはあってもモノラルで音楽用ではなく、ステレオミニプラグの登場と共にヘッドフォンとイヤフォンのステレオ化、小型軽量化が始まります。


発売された年の雑誌広告:一台をふたりで聴いているイメージになっている
ソニーの思惑通りだったのかは判りませんが、音楽を外に持ち出すことよりも、ひとりひとりがそれぞれ好みの音楽を聴くことで、パーソナル化が加速します。好みの音楽をミックスして詰め合わせてカセットテープにダビングするのが盛り上がったのも80年代。日本でのカセットテープ販売のピークは1989年で、年間約5億巻だったそうです。
そうしてレンタルレコード店という業態が生まれたのは翌年の1980年といわれています。
カー・オーディオに、カセットテープが使われるようになったのは1968年(クラリオン)から。「うさぎ小屋」と言われた※日本の住宅事情を考えれば、クルマの中は思い切り音楽が聴けるパーソナルな空間。デートのために、自分なりの選曲と流れを考えて編集したテープを作っていた人も多いはず。クルマで聴くのに最適な、疾走感のあるテンポの曲を好んでかけていた思い出もあります。75年頃からカーコンポが登場してオーディオ機器としてのこだわりがでてきて、80年代にはCDが加わり、CDを10枚まとめたマルチチェンジャーの登場は、ようやく途切れることなく音楽を流し続ける環境を作ってくれました。
- ※1979年(昭和54年)にEC(ヨーロッパ共同体)が出した非公式報告書『対日経済戦略報告書』の中で、日本人の住居が「rabbit hutch(うさぎ小屋)」と形容されたことから、日本では自嘲をこめた流行語となった。
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