ムーアの法則は、手のひらのスパコンまで進んだ

ムーアの法則とは、主にパソコンのCPUの性能が良くなっていくことを、インテルの共同創業者ゴードン・ムーア氏が1965年に発表した「半導体回路の集積密度は1年半~2年で2倍となる」という法則。あくまでも経験則による将来予測だったのが、この50年間そんな風に進歩して、そろそろ限界にきているといわれながらも性能はあがりつづけ、パソコンもスマホも安いものでも十分な性能になっています。

  • ムーアの法則: 集積回路に実装されたトランジスタ数の増大を表したグラフ

この図ではトランジスタの数(集積度合)で比較してますが、コンピュータの性能を表す目安に、FLOPS(1秒間に浮動小数点演算が何回できるか)というのもあります。90年代の半ば、世間でパソコンやインターネットを、ようやく多くの人が必要なものと認識した頃よく聴いた、Intelの最初のPentiumが300MFLOPS(メガ 106)という性能でした。

1999年のMacintoshの広告で、PowerPC G4プロセッサでGigaFlop(1秒間に10億回の浮動小数点演算)という性能なので、デスクトップ上のスーパーコンピュータ(以下スパコン)の時代だというものがありました。発売当初は3.7G(ギガ109)FLOPSです。スパコンというのは時代によって定義が違うようですが、2009年末に事業仕分けで蓮舫議員の「2位じゃダメなんですか?」という言葉が出た時のスパコンが「京(ケイ)」で、2011年に世界一だったときの速さが10.510PFLOPS(ペタ1015)です。京は兆の一万倍という単位になります。スーパーコンピュータ富岳が442.01P(ペタ)FLOPSだそうです。

コンピュータの性能はいろんな部品で変わりますし、一つのチップにいろんな要素が集積されているので単純に比較できないのですが、2020年11月発表当時にAppleの最初のM1は160億のトランジスタという集積度で2.6T(テラ1012)FLOPS※2というレベルになっています。最新のものなら2000年のころのスパコンと同じくらいの演算能力になります。
スマホもコンピュータなので中身は驚くほどに高性能で、最新のiPhone 14 ProのA16 bionicというチップは160億のトランジスタで、毎秒17兆の演算(17 TOPS)が可能と発表されています。これほどの性能がなぜ必要なのかは説明できませんが、毎日見ている手のひらの小さな機械が20年前のスパコンと同性能であれば、いま撮った写真が手品のように変化するのも納得できるというものです。

  • PCのメモリやストレージの価格がどう変化してきたのか一発で分かるグラフ(Gigazine 2015)
  • ※2
    Apple Siliconの実力やいかに、「M1」搭載Mac登場(日経XTECH 2020)